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想像力を持てと言われた。
どうやら俺は、[他人が傷つくことに関しての想像力]が乏しいらしい。
別に…。
別に戦争が好きな訳じゃないし、ポイ捨てすらしない。
煙草だってケータイ灰皿愛用。(灰は時々…ンーだけど。)
平和主義者って程じゃないけど自分の周りが平和な事に越した事はない。
「香奈と別れたって?」
この人は俺の所属レーベルの社長している男。
40歳で社長なのに独身。
何でもお見通しのようなこの目が時々嫌いだ。
「このままじゃ俺との今後は想像できないようで。」
そんなの必要ないだろって言ったらちゃんと考えてと怒られた。
だから他人を傷つけるし、傷つけたのも気付けないバカなのよ!…と。
「今までのままで十分最高だと思ってたんですけどね。今は結婚なんて考えれねぇし。」
「付き合ってどん位だった。」
「7年なる位…。」
結婚か別れるかつー選択はカレー味のウンコかウンコ味のカレーかってくらい現実味の無い選択で…。
でも選択してしまったからには訪れてしまった『別れる』。
「何で100かゼロの選択肢しか与えてくれないんだよあいつは。」
でもそういう、変に律儀な所も好きだった…。
アイス屋でチョコミントかチーズケーキか迷った末、何も買わず店を出た。
それほど食べたいわけじゃなかったのかと思えばそうでも無く、選ばれなかった方が可哀相でしょ。と言う。
何それ、ウザイ。
そう言いつつ、こいつはアイスの妖精でも見えるのかと考えたら笑えた。
そしてそれが可愛く思えてしまう自分に更に笑えた。
付き合っていくうちに、あいつの100かゼロの選択は優柔不断な自分を鍛える努力なんだと気付いて笑えない程の愛しさを感じた。
「俺ってそんなに人を傷つけるような事してますかね、想像力が足りないとか言われたんですけど…。つーか日常的に人を傷つけないように考えてしゃべったりする奴っているんですか。そんなの考えながら生活してたら俺脳みそ溶けます。」
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