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優理花の笑顔を見ると香奈に会いたくなる。
その連鎖は必ず出てきていた。
今も。
香奈の笑い顔はガキみたいだった。
目を細くして八重歯をのぞかせ、笑くぼができる。
コロコロ転がっていきそうな笑顔。
他人とすぐに打ち解けられない香奈は作り笑顔がヘタだった。
人見知り。
いい年して人見知りはなおせ。
もう27だろ。
『いいの。私、100かゼロしか無いもん。』
その開き直った態度にムカついてキレた。
先輩のライブで香奈と優理花が初めて会った日。
優理花が笑顔でよろしくお願いしますと好意的なのに対して香奈は頭を下げただけだった。
それが恥ずかしかった。
俺が優理花に負けたような気がした。
必要以上に親しい人が作れない香奈に安心しつつもそういう時は恥ずかしくなってしまう。
すごく勝手だった…気がする。
正論のほうが汚い。
いつも俺の言う正論は汚い。
本心を隠すためだったり、
自分を守るためだったり、
他人を傷つけたいだけだったり。
正論が本心なんてそんなキレイな人間いるものか。
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