序章

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振り解けない程深く絡まりあった蜘蛛の糸を解くことは出来るだろうか? ――ドンッ 私の脇腹は蹴られた。 「……った……」 ギャハハハと下品な笑い声が教室に響き渡る。 なんでこんなことになったんだっけ? 朧気に考えるが、鼓膜を破る程の不愉快な笑い声ですぐに打ち消された。 「ねぇ。」 彼女が笑いながら放とうとする言葉の続きを、私は最早考える必要はないくらいよく知っていた。 「「ナンデアンタハマダイキテンノ?シネバイイノニ。」」 幾度となく数えきれない程その残酷な言葉を私は嫌になる程耳にした。 我慢しろだなんて、誰が言ったっけ? 扉の隙間から覗いている、自己保身しか頭にない担任だった。 生徒を引き止めもせず、ただ傍観しているだけの担任――否、大人。 いつもそうだ。 大人は常に己だけを考え、他人を簡単に斬り捨てて生きていく残酷な存在。 だから私はこの世の中も大人も、私の目の前にいる子供も、すべてが大嫌いだ。 「シネバイイノニ」? そう言うなら望み通りに私は死んであげる。 この世にさようなら。 あの世にごきげんよう。
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