第一章

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私の様子がいつもと違うことを察したらしく、私は親友によって保健室に強制連行された。 「本当に大丈夫だよ?」 親友は首を横に振り、腰に両手を当てて私を睨んだ。 「駄目。さっきより顔色は悪いし、寝てた方がいい。先生には私がちゃんと言っておくから、大船に乗った気持ちで安心しなさいっ。」 そう言って私を押して強引に保健室に入れるとニッコリと微笑み、保健室の扉を閉めた。 「あ、待って……」 私の言葉が届かなかったらしく、足音は虚しくも保健室から遠ざかって行った。 ――ズキッ と頭痛がしたと思えば軽く目眩がした。 もしかしたら今日は本当に具合が悪いのかもしれない。 私にとって目眩は日常茶飯事のことだが、今みたいに激しいことは滅多にないことなのだ。 あの手紙のせいにはしたくないが、昨日のあの手紙のことを思い出すと頭痛がするため、思考の中ではどうしてもあの手紙のせいにしてしまう。 やはり親友の言う通り、しばらく横になっていた方がいいのかもしれない。 私は、親友にこれ以上余計な心配を掛けるわけにはいかないと思った。
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