第壱話 ハジマリの日

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皇帝の挨拶が終わり、乾杯をしようとしていた。 その時、入り口の扉が勢いよく音をたてて開かれた。 会場内の視線が一斉にそちらへ向けられる。 そこに立っていたのはビクトリアだった。 「愚の象徴ローラシア皇帝!ここで貴様には消えてもらう」 ビクトリアの言葉と同時に武装集団が流れ込んできた。 「ビクトリア!」 マクシミリアンが叫ぶ。 「撃て」 ビクトリアが号令を下し、一斉に銃声が鳴り始めた。 会場はパニックになり、銃弾は次々と人を撃ち抜いていく。 「あやつ…!」 皇帝はビクトリアに鋭い視線を向けた。 「父上!義母上!避難を!!」 マクシミリアンが銃を抜き、アルベルトとメアリに避難誘導をさせる。 そこにビクトリアが銃を構えながら走ってきた。 「ビクトリア!なんのつもりだ!」 「今あなたに説明している暇はない」 マクシミリアンはビクトリアに向けて銃を撃つ。 ビクトリアはそれを避け、彼の構える銃を蹴り飛ばした。 「なっ!?」 唖然とするマクシミリアンを尻目に、ビクトリアは皇帝に向けて銃を撃った。 弾は外れ、壁に当たる。 「ビクトリア、あなた!」 ティーエが叫んだ。 「あなたも同罪だ、母上」 ビクトリアは銃を捨て、剣を抜いてティーエに斬りかかった。 刃が彼女の身体を切り裂き、深紅の血を流しながらティーエはその場に倒れた。 「義母上!」 アルベルトがティーエに駆け寄ろうとする。 しかし、それはビクトリアによって阻まれ、腹部に蹴りを入れられその場にうずくまった。
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