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■夕菜 6幕目
二人、見詰め合ったまま
5分・・いや、10分。
どうした!?
告白して来ないのか!?
こんだけアタックしても
無理なのか!?
「あの・・」
来た!
私は更にダメ押しともいえる
得意のスマイルを
突きつける。
鏡で何百回練習した、
このスマイルが
私の最新鋭の武器なのだ。
「・・・・・」
ええぃ、歯がゆいな・・
男なら もっと
キメるところはキメてよ!
「あの・・
す、す、すき・・
すきやき
食べにいきませんか!?」
はい?
私は思わず、
漫才でやるような
ズッコケをしてしまった・・
ぐぅ・・
ここまでさせて、
私に恥をかかす気か!?
私は彼をギラリと睨む。
一瞬、彼が たじろいで
私から3歩ほど下がる。
マズった・・!
思わず感情に任せて
彼を敵視してしまった!
くそう・・
こんなに好きなのに!
生まれて初めて
こんなに
人を好きになったのに・・
私は何とも言いようの無い
後悔の念と悔しさが
込み上げる。
その時である、
頭上に広がる青空から
恋のキューピッドが
降りてきて、
私に啓示を与える・・
そうか!
その手があったか!
私は
キューピッドから受けた
啓示通りにセリフを言う。
「いいわよ。
すきやき?
美味しそうじゃない・・
行こっか」
あわよくば、すきやき屋に
デートという、
素晴らしい
アイデアである。
フフフ・・
ピュアメイカーめ
この鬼謀にどう対応する!?
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