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■隆人 7幕目
「いや、すきやきってのは
間違えたんだ・・
ほ、本当は違うことを
言いたかったんだよ」
気がつくと、
僕はこんなセリフを
口走っていた。
本当のことなのだが
あんな間違い
誰もしないよなあ・・
すると、彼女は
不敵な笑みを僕に浮かべると
こう言う。
まるで、蜘蛛の巣に獲物が
かかるのを待っていたかの
女郎蜘蛛のようであった。
「本当のこと?
本当のことって
何かしら?」
しまった!やぶへびだ!
いや、彼女は
ここまで予測して
僕にあの言葉を
突きつけてきたのだ!
ぐぅ・・
これはもう告白するしか
無いのか!?
いや、本当は
彼女のことが
好きなんだろう?
何を僕は迷っているんだ?
いや、迷っている?
違う、迷ってるんじゃない。
告白する勇気が無いだけだ。
告白するほど彼女を
好きじゃない?
それも違う。
単に僕が
意気地無しなだけだ。
僕が言わなくちゃ・・
僕は唾を飲み込み、
生死をかける覚悟を決める。
そして、
鉛のような唇を動かした。
「す・・・すき・・
スキーって楽しいよね!
アハハ・・」
だーーーー!
やっぱ、ダメだ!
言えねー!
その瞬間、僕の頬に
パシンという音ともに
痛みが走る。
え?
彼女が平手を打ったと
理解するのに、
時間はかからなかった。
僕は・・殴られたのか・・
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