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■隆人 4幕目
本田先生は、
激しく彼女を掴むと
今にも殴りかからんとする
勢いで、
烈火のごとく叫ぶ。
「おい!なんとかいえ!」
恐怖に
ひきつる彼女の口からは
何の言葉も
紡ぎ出されなかった。
やがて、彼の手は
澄み切った青空へと
向かい伸び、
それは 無常にも
振り下ろされる。
女の子を殴るのか!?
彼女は全ての覚悟を
受け入れた顔で目を閉じる。
くっ!! やらせるか!
-------『バシッ!』
僕は彼女の顔へと
弧円を描きながら向かう
本田先生の腕を掴んで
それを阻止した・・
いや、阻止してしまった・・
「お、おまえ!
先生に逆らうのか!?」
いや、そんな
つもりは毛頭無いッス!
「あ、いやぁ・・
体が勝手に・・!」
とっさに 僕は、
真実を口走った。
しかし、
本田先生の怒りのベクトルは
僕へと向かう。
まあ、当然だよな・・
どうせ、
こっぴどく怒られるんだ・・
彼女の分も怒られておこう。
「ぼ、僕のせいっス・・
彼女は関係ないですから。
僕が無理矢理、
彼女をここまで連れてきて
引き止めたんです」
やがて、
本田先生から繰り出される
パンチ、パンチ、
そしてパンチ。
痛ぇ・・・
僕はその場に
ガクリと膝を落とすと、やがて 目の前が
ぐにゃぐにゃと歪み始め、
意識は
徐々に薄らいでいく。
全く なんて日だ・・
これが僕の意識ある時点での
最後の思考だった。
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