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私と直哉はドアの方に振り向いた。
「あっあの、仮入部届けって終わりましたか?」
息を切らしながら男の子がそう言った。
「新しい一年生?バスケ部入りたいの?」
「あっ、はい…」
「ダメだな……時間を過ぎてる。」
直哉は少しきつくいい放った。
「別に良いじゃない。あなた、バスケ好き?」
「はい!好きです!」
「よし。ならいい。」
そう言って私はその男の子に仮入部の紙を渡した。
「おい!何かってにしてんだよ!?ただでさえ、今年は人数が多いっていうのに…」
「いいじゃん~バスケが好きなんだし。」
私は直哉にそう言いながらその男の子にペンを渡した。
直哉は溜め息をつきながらその男の子に聞いた。
「名前、なんて言うの?」
「あっ、日野要です。」
「分かった。明日からは時間に間に合えよ……」
「はい!」
直哉の先輩らしいところはかっこいい………私は不意にそんなことを、心で思ってしまった。
日野要…………
私はこの時は彼をなんとも思っていなかった。
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