ゲームって非日常的なものじゃなかったっけ

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「よくある異世界召喚ものなんだけど、うっかり攻略キャラにはまっちゃってさ! 格好いいんだよ、シューさん!」 「へ、へー……」 「あ、シューさんっていうのはシュナイダーさんの愛称で、好感度が高くならないと呼ばせてもらえないらしいの! 騎士団の隊長さんなんだー」 ……益々誰かを思い出させる設定だ。何だか頭痛くなってきた。 「乙女ゲームって確か攻略キャラが何人かいるんだよね? 他はどんなキャラがいるの?」 「メインがローレンっていう凄腕なんだけどちょっと控え目な感じの子で、愛称はロシュ君」 「何故!?」 「え? 名前がローレン・シュミットだからじゃないの?」 「略し方がおかしくない!?」 「文句はゲームの主人公に言ってよ。『貴方ロシュ君ね!』とかって謎の略し方したんだから」 主人公ェ……。 シューさん、ロシュ君ときたら。 「……もしかしてさ、愛称が『ルー君』のキャラがいたり、する……?」 「おー相澤、よく知ってるね。明るいけどちょっと腹黒のお兄さんキャラがルーク、つまりルー君ね。あと、ゼオルっていう、敵なんだけど主人公に惚れちゃうキャラとか、召喚した国の王子様のディオス殿下とか」 登場人物の一覧表を見せてもらった。他のキャラとか、外見はともかく、キャラ設定に既視感を感じてしまう。 …………これ、偶然……? どうにも釈然としない思いを抱えつつ、萌野がゲームを始めるのを眺める。 「取り敢えずほとんどのキャラ攻略してるから、今日は大本命のシューさんよ!」 萌野曰く、先に本命を落とすと後のキャラでやる気がなくなるから、最初は他のキャラからやるのだとか。 ……私だったら、ロシュ君を最後にする(笑)。 「シュナイダーさんはね、ある程度までの好感度が上がるのは早いんだけどさ、保護者枠からなかなか出て来てくれないのよねー」 「あー、年が離れてるからじゃない? 流石にあの年令からしたら、十代なんて子供でしょ」 「なるほどー……って、そのエピソード出てくるのもっと先なんだけど、説明に載ってないのに、相澤よく知ってるね?」 しまった、リアルシューさんのこと話してた! 「…………い、今保護者枠って言ったから、そうかなって!」
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