ゲームって非日常的なものじゃなかったっけ

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『オレでは貴女の支えにはなれませんか?』 『ロシュ君……』 『貴女が異世界に帰ってしまうとしても、オレは貴女を……愛し続けます……』 「くぅっ、鼻から何か出そうだっ! ロシュ君も格好いいっ!」 萌野が悶えている。シューさんルートに失敗してロシュ君ルートにいっていってしまったらしい。本物のロシュ君は違うベクトルで格好いいしもっと悶えそうな台詞を素面で言うよと思いつつ、うっかり見入って三時間。 何かね、何か…………覚えのあるイベント満載なんだけど……? 最初に鏡から出てくるとことか(召喚用の鏡という設定だ)、シューさんが年令不詳の美形さんとか、流石にルー君は兎じゃなくて狐の獣人だったり、ディオス殿下とやらが少しショタだったり(ニーズの問題なんだろう、多分)という部分を除けば、概ね私が知ってる話がちらほら出てくるんですけど! 皆様の性格も、ほぼ然り。 一体どうなってるんだ。 「相澤さ、今日泊まってかない? 相澤もこのゲーム気になるでしょ?」 萌野の目がキラキラしている。 「あ、うん……ちょっと電話して許可とってくる」 「もしもし?」 『優菜ちゃん、今日は遅いのねー』 「うん、萌野のうちにお邪魔させてもらってるの。それよりママ、ちょっと質問してもいい?」 『あらあら、何かしらー?』 「『レジェンドオブレアリーフェイド』っていう乙女ゲーム、知ってるよね?」 電話の先で、ママが一瞬無言になる。 「どういうことか、説明して欲しいなー」 『……優菜ちゃん、ゲームはしないと思って油断してたわ』 「てことは、やっぱりママが関わってたんだね?」 私が喋ってない以上、ママ以外に話を漏らす人なんて思い付かない。 『うーん、それには事情があって。優菜ちゃん、お隣のアキさん、知ってるわよね?』 「アキお姉さん? アキお姉さんがどうかしたの?」 『アキさんって、乙女ゲームだけってわけじゃないけど、シナリオライターなのよね』 ママ曰く「アキさんがネタにつまって七転八倒していたのを見かねて、つい……」ということだ。 「アキお姉さん……余程切羽詰まってたんだね……、ママがどう話したのか知らないけど、ほとんどそのままって感じだったよ……」 そしてそれで企画が通っちゃったんですね。何その(私限定の)羞恥プレイ。
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