ゲームって非日常的なものじゃなかったっけ

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萌野が素っ頓狂な声を上げた。 『貴女一人でどうにか出来る問題じゃない。どうして誰かに相談しないのですか』 『ご、ごめんなさい。今まで貴方の手を……貴方だけじゃない、皆の好意を散々払いのけてきたのに……、こんな時にだけ頼りにするなんて、そんなこと出来ない……』 『謝らなくていい。私の前でだけは強がらなくていいんだ』(ここで「敬語が崩れとる!?」と萌野が叫んだ。) 『気付いてたんですね……』 『この世界に来て、右も左もわからない状態だ。誰かに頼るのは当然だろう。なのに貴女は人の手も借りず、必死に頑張っていた。そんな貴女を誰が突き放せると言うんだ』 『でも、私は誰の迷惑にもなりたくない……』 『迷惑だなどとは思わない。……貴女は危なっかしい。逆にいくらでも頼ってほしいくらいだ』 『シュナイダーさん……』 『どうか、シューと呼んでほしい。……私の忠誠を貴女に捧げよう』 膝を折って主人公の片手をとっているシュナイダーさんのイベントスチルが現れる。萌野が「イラストが神!」と言っていただけあって確かにときめくシチュエーションだ。 多分これからはルートとやらに入ってるだろうから、シュナイダーさんに頼りまくればいいはず。 「……何てこったい。シュナイダーさんを攻略するのに、他のキャラの好感度がそこまで邪魔になるなんて盲点だった……!!」 「萌野ならそのくらい試してるかと思ってたよ」 「ほぼゼロになんてなかなか出来るもんじゃないよ! このゲーム、ゲームオーバーがあるんだから!」 どうやらシュナイダーさんは八方美人がお嫌いのようです。 しかも(進めていくうちにわかったのだが)、シュナイダーさんルートに入ると、皆の好感度がゲームを進めるのに必要なレベルにまで勝手に上がる。 これ、シュナイダーさんの人望のお蔭でしょ、絶対。 「相澤っ、何でわかったの!? 攻略法を知ってたの!?」 「ん? いや何となく。シュナイダーさんって何やっても好感度がほとんど動いてなかったから、逆に下げようとしてみただけ」 因みにリアルのシューさんは、一回自分の懐に入れた人にはおおらかだし、怒ることはあっても本気で見捨てることは滅多にない。だから、『一人で危なっかしい→目が離せない→意識する』、みたいな公式が成り立つんじゃないかなと思っただけなんだけど。
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