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自室のベッドに寝ころんで、ロシュはレイナにもらった手紙を開いてみる。
便箋には、お世辞にも綺麗とは言い難い文字が並んでいる。さながら、子供が覚えたての字を誰かに見せたくて書いた落書きのようだった。
しかし、レイナが悪戦苦闘しながらエイダに習っていた姿を思い出し、ロシュは自然と口元が緩んだ。
「何見てんだー?」
「……何でもない。だから、部屋に入る時は声をかけるか戸を叩けって……」
ロシュは言い飽きるほどなのに、ルークの耳にタコは出来ないらしい。
ルークの間が悪いのは諦めたが、入室のマナーに関しては諦めていないロシュである。
「それもしかして、レイナ様にもらった恋文とか? 逢えない間、それを励みにしようなんつーこと考えてたり……」
からかう気満々のルークがニヤニヤと笑う。
図星を刺されると人は、黙るか、否定するか、どちらかの行動をとる。
ロシュは即座に否定しそうになったが、ふと思い直し、いつもとは違う態度をとってみた。
「そうだ。いいだろ?」
「ぬぅ……ロシュのくせに、生意気……ってお前な、自分で言ってて照れるなよ」
顔緩んでる。
堂々としてろと言われ、結局はからかわれるロシュであった。
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