何事もほどほどに

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「……という訳で、是非ともフォードック卿からもご指導、ご助言を賜りたく存じますの」 「……エイダ殿」 何故私が部下の性教育までせねばならんのだろうか。シュナイダーはその時そう思ったという。 しかも、その部下の相手が娘同然のレイナ……。それだけでもこめかみがひきつりそうになるというのに。 「私には荷が克ちすぎているので……」 「何も、手取り足取り指導して欲しい訳ではありませんわ。経験談を語るとか、猥談に交ぜるとか、そのくらいで構いませんのよ」 ある程度免疫がつけばいい。そう言ったエイダに、シュナイダーは溜め息を零した。 「……まあ、そのくらいなら」 「……隊長殿ー、エイダ殿の頼みとはいえ、それはかなりの難易度ですよー?」 「何故?」 ルークは軽く肩を竦める。 「ロシュの奥手は筋金入りなんですよ。俺、こないだ騙して娼館に連れてったら、レイナ様に悪いとかって慌てて逃げて帰っちゃったし。何つーか、あいつが自分からヤりたいと思うのって、レイナ様だけみたいっすね」 ……そんな赤裸々な話、聞きたくない。シュナイダーは頭が痛くなった。 蛇足だが、レイナはルークがロシュを花街に連れて行くのではと危惧していたが、予感的中である。 「……スタットはそこまで純情なのか」 見た目があれなだけに、単に機会がなかったのだと思っていたシュナイダーは開いた口が塞がらない。操立てするのは、女性だけではないらしい。 「でもまあ、隊長殿なら雰囲気が壊れた時の対処くらいお手の物でしょー? 教えてやって下さいよ」 ニヤリと口元を吊り上げたルークの軽口に、シュナイダーは真面目な顔をして首を振った。 「ヤシュカ。自慢じゃないが、私は自分から口説いたことがほとんどない。あまり頼りになるとは思えんのだが」 シュナイダーは、誘われて、その誘いに上手く乗るだけ。元から相手の方がその気だし、刺激されれば……まあ、それなりに。というある意味最低な発言をした。 言われたルークは、どう聞いても自慢だよと内心ですかさず突っ込む。 相手がどんどん寄って来るなら、確かに不自由はしないだろう。
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