何事もほどほどに

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【おまけ】 「ルーク、何か……ふわふわする……」 ギョッとしたルークが、慌ててロシュのコップを奪い取った。 「ちょ、これ果実酒じゃねーか!」 ロシュ自身が、口当たりがいいのでジュースと間違えたのだろう。ルークはなるべくロシュの近くにアルコールを置かないようにしていたのだが。 「スタットって本当に飲めないのな。こんなん酒じゃないじゃん」 「もしかして、リャンさんの仕業っすか!? ……あーあ……、俺、知らねー……」 「え、何? もしかして、スタットって酒乱?」 「……いや、あー……ある意味そうかな。ロシュは酔うと、芸をやり出すんです……すっげー怖いのを」 いつの間にか席を立っていたロシュは、何故か果物を上に放り投げ、自分の剣を一瞬で抜いて、また鞘に納めた。 果物は、綺麗に八等分され落ちた。周囲から拍手が上がる。 しかしながらシュナイダーは何かを察知したのか、自席から立ち上がってまでロシュと距離を取り、ルークの方へ物言いたげな視線を向けた。 リャンがルークに尋ねる。 「……酔ってるんだよな?」 「……酔ってるっす」 「……あの剣捌きで?」 ルークは無言で頷いた。 「それはともかく、どこが怖いわけ?」 「今からが真骨頂っすよ……一人で済めばいいけど……」 誰が犠牲になるかなとルークは物騒な言葉を吐く。 あろうことか、ロシュは立っていた隊員の一人に剣を向ける。周囲が止める間もなく、剣が閃いた。 服の切れ端が宙を舞う。 「な、な、なっ!」 切られた彼は、一瞬にしてパンツ一丁の情けない格好になった。 「……すげー、前より腕上がってる。前は下着も全部やったからなー……」 「あれ、本当に酔ってんの!?」 「……怖いっすよねー。酔ってんのに、剣持って精度の高い技をやるんですから。手元狂ったら……って、ゾッとしますよねー……」 しかも利き手じゃないのに。ルークは人事のように呟いた。 ロシュはふらふらと歩いている。まだ余力があるのかとルークは舌打ちした。 やはり一人では済まなそうだ。 唖然としているリャンを、ルークが容赦なくロシュの前に押し出し、逃げた。
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