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「ちょっ、ヤシュカ!?」
「俺、もう経験済みなんで。リャンさんのせいっすから、リャンさんが責任取って下さいねー☆」
ルークは見習いの時に飲ませて、酷い目にあっていた。
こうなるってわかってたから、飲まさないようにしてたのに。でも、前みたいに全裸じゃないだけマシだよなー。ご愁傷様。
そんなことを思うルークであった。
「ひぃぃぃぃ!!」
無表情で近付いてくるスタットは、死ぬほど怖かった……。――後にリャンはイースにそう愚痴ったという。
二人目の犠牲者が出た。全員が遠巻きにする中、シュナイダーだけは果敢にロシュの前に立ちはだかる。
「ヤシュカ! どうやって止めるんだ!?」
「うーん、二人目だし、そろそろ力尽きるんではないかと……思いたい」
「希望かよ!?」
普段冷静なシュナイダーですら口調が壊れている。
「隊長殿っ、危険ですっ!」
「スタット! 隊長殿だけはやめろ!」
「ちょっ、それはヤバい! 見たいかもっ!」←
普段なら上記のような発言者をシバいてやるシュナイダーだが、今そんな余裕は皆無である。
(こんな状況でも、隙がないとは……)
スタット、恐るべし。
今まで相手にした誰よりも、脅威を感じるかもしれない。
酔っ払い相手に、そこまで思ってしまったシュナイダーである。
しかし、ロシュは剣を落とし、ふらふらと歩いて、そのままこてんとシュナイダーの肩に頭を落とした。
そのまま力が抜け、倒れ落ちそうになるのをシュナイダーが何とか支える。
「……寝てる……」
当面の危機は無事に去ったらしい。同時にどっと疲れたシュナイダーであった。
お約束だが、ロシュは次の日全く覚えていなかった。
二日酔いで呻いている彼を見て、漆黒の槍隊員には(勿論シュナイダーも含め)、『絶対にスタットに酒を飲ませてはいけない』という不文律が出来たのだった。
どっとはらい
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