何事もほどほどに

9/9
前へ
/110ページ
次へ
「ちょっ、ヤシュカ!?」 「俺、もう経験済みなんで。リャンさんのせいっすから、リャンさんが責任取って下さいねー☆」 ルークは見習いの時に飲ませて、酷い目にあっていた。 こうなるってわかってたから、飲まさないようにしてたのに。でも、前みたいに全裸じゃないだけマシだよなー。ご愁傷様。 そんなことを思うルークであった。 「ひぃぃぃぃ!!」 無表情で近付いてくるスタットは、死ぬほど怖かった……。――後にリャンはイースにそう愚痴ったという。 二人目の犠牲者が出た。全員が遠巻きにする中、シュナイダーだけは果敢にロシュの前に立ちはだかる。 「ヤシュカ! どうやって止めるんだ!?」 「うーん、二人目だし、そろそろ力尽きるんではないかと……思いたい」 「希望かよ!?」 普段冷静なシュナイダーですら口調が壊れている。 「隊長殿っ、危険ですっ!」 「スタット! 隊長殿だけはやめろ!」 「ちょっ、それはヤバい! 見たいかもっ!」← 普段なら上記のような発言者をシバいてやるシュナイダーだが、今そんな余裕は皆無である。 (こんな状況でも、隙がないとは……) スタット、恐るべし。 今まで相手にした誰よりも、脅威を感じるかもしれない。 酔っ払い相手に、そこまで思ってしまったシュナイダーである。 しかし、ロシュは剣を落とし、ふらふらと歩いて、そのままこてんとシュナイダーの肩に頭を落とした。 そのまま力が抜け、倒れ落ちそうになるのをシュナイダーが何とか支える。 「……寝てる……」 当面の危機は無事に去ったらしい。同時にどっと疲れたシュナイダーであった。 お約束だが、ロシュは次の日全く覚えていなかった。 二日酔いで呻いている彼を見て、漆黒の槍隊員には(勿論シュナイダーも含め)、『絶対にスタットに酒を飲ませてはいけない』という不文律が出来たのだった。 どっとはらい
/110ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3540人が本棚に入れています
本棚に追加