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「おれ、お父さんのお父さんくらい凄い職人になりたいんだ」
「エイミはお父さんよりつおくなるのー」
「二人とも頑張ってね」
片や剣聖、片や知る人ぞ知る伝説の職人である。越えるのはかなり厳しいと知るレイナだが、それでも子供達の夢を壊さないようにと微笑んだ。
「でね、今日はお父さんお休みだから、お出掛けするのー。約束約束っ」
「あれ、遅刻って……」
「だって、あなた、起きないから。今日は皆でシューさんのとこに行く約束してたでしょ? 双子ちゃんもダンとエイミが遊びに来るの待ってるだろうし」
またしてもロシュの知らない情報が飛び出した。もう何を聞いても驚くまいとロシュは密かに心に誓う。
「で、どうする?」
「どうって……?」
「エイミをシューさんとこのエリオットの許嫁にほしいって言われたでしょ? シューさんに。アリアもダンが気に入ってるみたいだし、うちの子はモテモテね」
双子はうちの子供達と年が近いらしい。おまけに男女の双子のようだ。とロシュは推測した。
エイミはレイナにそっくりで、親の贔屓目なしでも可愛い。いくらシュナイダーが親であっても、自分なら、うちの娘はやらんという心境になったであろう。
「……そういうことは、もう少し大きくなってからでいいと思う」
「確か前もそう言ってたけど、いくらシューさんにでも、素直に『うちの子はやりません』って言ったら? 親バカなんだから」
レイナが笑った。
やっぱりかとロシュは苦笑する。
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