パラレル・パラレル

4/10
前へ
/110ページ
次へ
「おれ、お父さんのお父さんくらい凄い職人になりたいんだ」 「エイミはお父さんよりつおくなるのー」 「二人とも頑張ってね」 片や剣聖、片や知る人ぞ知る伝説の職人である。越えるのはかなり厳しいと知るレイナだが、それでも子供達の夢を壊さないようにと微笑んだ。 「でね、今日はお父さんお休みだから、お出掛けするのー。約束約束っ」 「あれ、遅刻って……」 「だって、あなた、起きないから。今日は皆でシューさんのとこに行く約束してたでしょ? 双子ちゃんもダンとエイミが遊びに来るの待ってるだろうし」 またしてもロシュの知らない情報が飛び出した。もう何を聞いても驚くまいとロシュは密かに心に誓う。 「で、どうする?」 「どうって……?」 「エイミをシューさんとこのエリオットの許嫁にほしいって言われたでしょ? シューさんに。アリアもダンが気に入ってるみたいだし、うちの子はモテモテね」 双子はうちの子供達と年が近いらしい。おまけに男女の双子のようだ。とロシュは推測した。 エイミはレイナにそっくりで、親の贔屓目なしでも可愛い。いくらシュナイダーが親であっても、自分なら、うちの娘はやらんという心境になったであろう。 「……そういうことは、もう少し大きくなってからでいいと思う」 「確か前もそう言ってたけど、いくらシューさんにでも、素直に『うちの子はやりません』って言ったら? 親バカなんだから」 レイナが笑った。 やっぱりかとロシュは苦笑する。
/110ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3540人が本棚に入れています
本棚に追加