パラレル・パラレル

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シュナイダーは何も言わず、レイナにただ微笑みで返した。 「もー、いっつもそうやって誤魔化すんだからー」 「まあそう言うな。それより……」 「アリア、これ、この前ミレイさんが来た時に作ったんだ。まだまだ話にならないって言われちゃったんだけど、前よりは上手く出来たから見せたくて」 銀で出来た小さな花の形のブローチ。七歳の子供が作ったにしては上出来だが、所々に粗い部分も残る拙いものだった。アリアはじっとそれを見つめて呟いた。 「綺麗……」 「本当? なら、もらってくれる?」 「……いいの?」 「うん、アリアこういうの好きだろ?」 「……ありがとう、大事にする」 「次はもっと綺麗なの作るよ」 『次』。アリアが嬉しそうに笑った。 それを眺めていた大人組。レイナは微笑ましいと思い、(前もって聞いていたが)ロシュは唖然、シュナイダーは真面目に将来的なことを思案した。 「……うちと縁戚になる日はそう遠くなさそうだな」 「うーん、どうかな。ダンもエイミも……私達の子供だけあって、恋愛関係には疎そうな気がしてならないんだけど」 何せロシュとレイナの子供である。聡いとは思えない。そこはレイナ自身も自分だけ棚に上がる気はない。 「あの、ダンは……」 「スタット、言いたいことはわかるが、私はアリアがいいと言うなら反対はせん。まあ、娘を嫁にやる時の通過儀礼として殴ることはあるかもしれんが、今更容姿云々と言うつもりは全くないぞ」 「シューさん、気が早いよー。子供だし、気持ちが変わることもあるだろうから、今は見守るだけでいいと思うよ」 別に運命の人が現れる可能性だって……とレイナがいたずらっぽく笑った。 が、しかし。 「お父さーん、エイミ、エリーと結婚していいー?」 今度は噎せるより、お茶を吹いてしまったロシュだった。
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