3540人が本棚に入れています
本棚に追加
シュナイダーは何も言わず、レイナにただ微笑みで返した。
「もー、いっつもそうやって誤魔化すんだからー」
「まあそう言うな。それより……」
「アリア、これ、この前ミレイさんが来た時に作ったんだ。まだまだ話にならないって言われちゃったんだけど、前よりは上手く出来たから見せたくて」
銀で出来た小さな花の形のブローチ。七歳の子供が作ったにしては上出来だが、所々に粗い部分も残る拙いものだった。アリアはじっとそれを見つめて呟いた。
「綺麗……」
「本当? なら、もらってくれる?」
「……いいの?」
「うん、アリアこういうの好きだろ?」
「……ありがとう、大事にする」
「次はもっと綺麗なの作るよ」
『次』。アリアが嬉しそうに笑った。
それを眺めていた大人組。レイナは微笑ましいと思い、(前もって聞いていたが)ロシュは唖然、シュナイダーは真面目に将来的なことを思案した。
「……うちと縁戚になる日はそう遠くなさそうだな」
「うーん、どうかな。ダンもエイミも……私達の子供だけあって、恋愛関係には疎そうな気がしてならないんだけど」
何せロシュとレイナの子供である。聡いとは思えない。そこはレイナ自身も自分だけ棚に上がる気はない。
「あの、ダンは……」
「スタット、言いたいことはわかるが、私はアリアがいいと言うなら反対はせん。まあ、娘を嫁にやる時の通過儀礼として殴ることはあるかもしれんが、今更容姿云々と言うつもりは全くないぞ」
「シューさん、気が早いよー。子供だし、気持ちが変わることもあるだろうから、今は見守るだけでいいと思うよ」
別に運命の人が現れる可能性だって……とレイナがいたずらっぽく笑った。
が、しかし。
「お父さーん、エイミ、エリーと結婚していいー?」
今度は噎せるより、お茶を吹いてしまったロシュだった。
最初のコメントを投稿しよう!