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「今日はお疲れ様」
子供達は遊び疲れて既に夢の中。今は所謂夫婦の時間というやつである。
「エイミまであんなことを言い出すなんて思わなかったな」
「……あれは、恐るべしフォードックの血筋って言うべきかもね。エリオットの将来が気になるよ……」
シューさん以上のたらしになるかもとレイナが苦笑する。その場合、被害者(?)はエイミだろうが。
ふふとレイナが笑う。
「今日、久し振りにレイナって呼んでくれて嬉しかったな」
「え?」
「最近はずっと『お父さん』、『お母さん』だったじゃない? 子供達がいるから、それが当たり前なんだけど……何か、昔に戻ったみたいで……」
はにかんだ笑顔がとてつもなく可愛かったので、ロシュは遠慮なくレイナを抱き締めた。
「なら、名前でちゃんと呼ぶよ、レイナ」
照れた妻が頭を胸に押し付けてくる。
「……何か、今日のロシュ、いつもとちょっと違うね。結婚前に戻ったみたい。ちょっと新鮮」
(……鋭い)
ロシュは苦笑いだ。
今のロシュの中身は、結婚前どころか、付き合いたての頃の彼なので、フレッシュなのは当然なのである。
「あのね、一個お願いしていい?」
「何?」
「疲れるのはわかってるんだけど……、腕枕……、やっぱりいいや。ごめん」
可愛い妻の頼みは、とても可愛らしいものだった。
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「…………くん、……しゅ君っ、ロシュ君ってば、起きて!」
薄く目を開けたロシュの前には、レイナの顔があった。
「おはよ、目、覚めた?」
ふわりとレイナが笑う。
相変わらず綺麗だ。ロシュは顔を覗き込んでいるレイナをしっかりと抱き込んで、ベッドへと引き摺り込んだ。
「え、ちょっ、ロ、ロシュ君!?」
「あと五拍……」
じたばたと暴れるレイナの腰に腕を回し、がっちりとホールド。最早レイナは抱き枕状態である。
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