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しかし、その状態も長くは続かなかった。
「スタット! お前は何をしてるんだ!?」
ガツン!
「痛っ!?」
寝起きの頭に容赦ない一発を受け、ロシュは呻いた。
「あ、あれ? ここは……」
シュナイダーが眉間に皺を寄せた。
「いつまでも寝ぼけるな。まだトッドに着いてないからといって、気を抜き過ぎだ」
そう言えば……とロシュは思い出す。彼らはトッドに行く途中で、今現在はアレに乗車(?)中だと。
(夢、だったのか……)
おまけに、後でルークにからかわれる率百二十パーセント。何だか非常に残念な気分になったロシュである。
「皆様、早く食べて下さいませ! 片付けられませんわ!」
エイダが頬を膨らませた。その姿は本物ハムスターさながら。
「エイダさん、今行くー! にしても、びっくりしたよー?」
いきなり押し倒されたレイナからすれば至極当然の苦情だ。ロシュも気まずくて俯いた。
「済みません、オレ、夢を見てたみたいで」
「そうなの? どんな夢?」
無邪気に尋ねられ、ロシュは一瞬言葉をに詰まる。
「……いい夢ってことだけしか覚えてなくて」
オレとレイナが夫婦になってる夢。
自分の願望が夢に出たのだと思うと恥ずかしい。ロシュは曖昧に言葉を濁した。すると、レイナがイタズラっぽく微笑む。
「私もいい夢見たよ。……内容は秘密だけど、ね」
その顔は夢に出てきた何年後かの彼女の顔と変わらず、ロシュはそんなレイナにまた恋をするのであった。
(正夢になるといいのに!)
end
補足:ちょっとだけCK本編とリンクしています。気になる方は、CK503ページへどぞ。
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