Je te veux

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おまけ 「ギリギリだな」 「ほんっとにギリギリですね」 何がって? 花嫁衣装の話だ。もう臨月に近いから、腰回りがヤバイことになっている。いわゆるパツンパツンというやつだ。 相手が殿下でなかったら、もっと早く式を挙げられただろうし、わざわざこんなド派手な結婚式をしなくて済んだのだが、まあ仕方がない。 しかし、この婚礼衣装は妊婦に優しくない。重たい装飾品をジャラジャラと着けさせるなんて、普通の婦女子なら潰れてしまいそうだ。 殿下の求婚を受けた後、そりゃあもう大変だった。 ロゼオ殿下は祝福してくれたが、予想通りルノー殿下が文句をつけてきて、あることないこと殿下に吹き込もうとしたので、キッチリシメた。妃殿下が「もっとやっちゃって下さい」と言ったので、色々腹に据えかねていることがあるのだろう。 妾妃様も最初は煩かったのだが、私の懐妊を知るやいなや態度を変えた。 「責任をとるというのならしょうがない。若い頃の王よりずっと真面目でいいわ。王に似なくて良かったわね……」 とは妾妃様の談である。 この方も色々苦労があったようである。ルノー殿下の母君にしてはまともだった。 因みに王妃様は、 「やっと孫の顔が見れるのね!」 と喜んで下さった。 アゼルについては、マルチェド側も「事故なら仕方ない」(あの件は下からの目撃者もかなりいたのだが、雷に当たったようにしか見えなかったらしい)、「あの姫なら天罰くらい当たりそう」となかなかに冷静な対応で、……流石にアゼルが哀れに思えた。 が、自業自得でもあるので、それ以上は同情出来そうにない。 「……なかなか似合ってますね、笑ってあげようと思ったのに、予想外でした」 アーヴィングはそう言ったが、私自身は似合ってなくても殿下が喜んでくれただけで満足なので、外野の声は知らんぷり。 「殿下、一つだけ言っておきます」 「なんだ」 「隊長の座はアーヴィングに譲りましたが、剣の鍛練はやめませんからね」 流石に妃殿下と隊長の兼任は不可だった(当たり前だ!by サルマト)ので、順当に繰り上がり、アーヴィングがその任に就いたのだ。 私の主張に対し、殿下は。
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