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少年は走っていた。
誰よりも先へーーーー
誰よりも遠くへーーーー
ついてこいよ!
後ろの奴に言う。
そいつは苦笑いをして、次の瞬間、倒れた。
それでも、少年は足を止めない。
まだ見ぬ世界の入口に手が届きそうだからーーーー
それが目の前に達した時、少年は笑顔で後ろを向く。
皆、ついたぞ!
そう叫びながらーーーー
だが、その眼前に広がるのは、少年に背を向け、歩く仲間達ーーーー
待ってよ!
少年は届きかけた世界の入口の扉から手を離し、仲間を追う。
しかし、仲間達は遠い。
遠くへ
遠くへ感じる。
自分が走り過ぎたと感じるのに、時間はかからなかった。
諦めて、新たな入口に目を向ける。
しかし、それも今や遠い。
少年は何も得ることなく、ただ立ち尽くすだけだったーーーー
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