0. -足を止めし少年-

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  少年は走っていた。 誰よりも先へーーーー 誰よりも遠くへーーーー ついてこいよ! 後ろの奴に言う。 そいつは苦笑いをして、次の瞬間、倒れた。 それでも、少年は足を止めない。 まだ見ぬ世界の入口に手が届きそうだからーーーー それが目の前に達した時、少年は笑顔で後ろを向く。 皆、ついたぞ! そう叫びながらーーーー だが、その眼前に広がるのは、少年に背を向け、歩く仲間達ーーーー 待ってよ! 少年は届きかけた世界の入口の扉から手を離し、仲間を追う。 しかし、仲間達は遠い。 遠くへ 遠くへ感じる。 自分が走り過ぎたと感じるのに、時間はかからなかった。 諦めて、新たな入口に目を向ける。 しかし、それも今や遠い。 少年は何も得ることなく、ただ立ち尽くすだけだったーーーー
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