ポーカーってやってみたいけど、ルール知らないっていう残念な話

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  「フッザケんじゃねぇ! テメェ、この期に及んで嫌だなんて言わせねえぞ」 カードを勢いよく投げ捨てて、ワタルはサトにつかみかかった。 サトは涙目になると、子犬のようにプルプルと震えながらワタルを見上げる。 「いやいや、やめて! あたしまだ怖いのっ」 「怖いのじゃねぇ! お前が望んだことだろ! 『ババ抜きがしたい……ワタルと』って言ったのはお前だろ!」 「だって……! だってこんなことになるなんて、あたし思わなかったんだもん! ババを引いちゃうなんて……あたし……」 「覚悟を決めたんじゃなかったのかよ! ババを引いてもいいって……そう思ったんじゃねえのかよ!」 「そうよ! 最初はそうだったわ! でもダメなの! やっぱりあたしにババ抜きなんて無茶だったのよ。あたしなんかっ……あたしなんかジジ抜きで充分なんだわ」 「いまさらそんなこと言ったって遅いんだよ! お前はもうババを引いちまったんだ。どうやったって、後戻りできないんだよ」 「やめて! そんな言い方しないで! ガラス細工のようなあたしの心は粉々よ! 貴方には優しさってものがないのね!」  
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