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「お前だって俺のことなんか全然考えてねえじゃねぇーか!」
「ひどいっ! 信じてないのね! あたしは考えてるわっ、いつも貴方のことを!」
「ほんとか? その言葉を……信じていいんだな?」
「うん……ワタル……」
「サト……」
二人は、しばし熱く見つめあった。
一般男子よりか幾分、見目が良いはずのノーマル男子二人が熱く見つめあう図など、寒いことこの上ない。
いや、むしろ極寒──、ブリザード並のキモさがある。
「……引いていい?」
ワタルは囁いた。
「いいよ。ジョーカー……引いてね」
「嫌だ……」
優しくほがらかに微笑みあいながら、二人は相手のカードを睨みつけた。
絶っっ対、負けへんっ……!
こうして、あたたかな9月のある日の昼休みは、くだらない芝居とババ抜きに費やされるのであった──。
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