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「明里、おはよ 」
早足で校門を通過していたら、頭上から名前を呼ばれた。
「今日は俺の方が早かったね」
クスクスと笑う眼鏡をかけた優し気な男、北栄 湊。
知的で落ち着いた雰囲気を漂わす、優等生。
同じ年の、
――明里の彼氏でもある。
明里も苦笑しながら挨拶をした。
「見ていたなら説教してやってよ、湊」
湊は爽やかに苦笑すると、窓の縁に手を添えた。
「なかなか漫画でも御目に掛れない場面だったからさ」
思い出し笑いをしながら、ゆっくり歩いて来ている柊を見た。
「このままじゃ本当に、保護者の頭痛は耐えないね」
「……本当っ、嫌になるわ」
「あっ! 今、明里が俺の悪口言った!!」
振り返ると、まだ数メートル後ろにいる柊が両手を振ってアピールしていた。
「湊、彼女の教育がなってないよ~~」
明里に追いついた柊が、湊を見上げてため息を着いた。
「柊! 先輩に対して呼び捨てしないでよね!! しかもアンタは道徳の欠片もない癖に」
明里が食って掛かると、先ほどの可愛いらしい笑顔はどこへやら、柊はゲヘへ~と下品に笑った。
「だって、明里の彼氏だもん! 俺の兄ちゃんみたいなもんじゃん」
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