142人が本棚に入れています
本棚に追加
非日常。
「やっぱ亜美は愛人志望かな」
ストレートの長い髪を、指に絡ませながらサラリと言った。
長い髪はやや茶色、小柄で目が大きく可愛らしい声。
小さな体よりやや大きいセーターを着て、袖から少しだけ手を覗かせ、
首を傾げ上目遣いで柊を見た。
それは、
朝早くに、柊の言った通り音楽室に居た亜美に、運命ってあるんだと、からかっていた時だった。
「いきなりどーしたんすか? 」
「だって亜美、防御型だもーん、ね?」
音楽室の机に座っていた柊に近づき、腕の袖を引っ張った。
「朝から会いたいって言ったから女の子に殴られてまで来たのに、何?」
柊は戸惑いを見せつつも、苦笑し亜美を覗き込む。
「あー、また亜美を理由に女から逃げて来たんだぁ」
おっとりとした喋り方、語尾を伸ばして甘えた口調。
おまけに可愛らしい容姿。
大抵の男は亜美と話す時、亜美に釣られて優しい口調になる。
柊以外は、だが。
「どーせ本気になれないんだから止めておけばいいのにー」
よいしょ、と柊の隣に座り柊の瞳を覗き込む。
「柊も亜美と同じ、愛人志望になっちゃうしかないよ~」
チョンと柊の鼻の頭を触り、可愛らしく笑った。
「いきなり素っ頓狂な事言わないでよ、一応俺よりお姉さんなんだし」
最初のコメントを投稿しよう!