第ニ章

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   叶助は混乱していた。  何が起こっているのかわからない。  怪しい連中が現れ、そいつらが危険であると判断したのは正しかっただろう。  実際にまだ何かをされたわけじゃないが、突然同じような格好をした連中が何人も現れ、何度か見たような超常的な光を発しているのだから、理由が何であれ普通じゃない。  だから、同じような力を持つ言葉に視線を向けた。  どうすればいい――といういう意味で。  笑名先輩でも良かったが、やはり先にその能力を知った言葉を見てしまった。  そして言葉もそれに応えるように叶助に駆け寄った。  しかし、その後だ。  何が起こった?  叶助の傍らにいた、この場で最も一般人である笆乃が、言葉と入れ替わるように駆け出したのだ。  そして、笑名先輩に駆け寄って、  ――キスをした。  何故?  今この状況で、何故?  いや、この状況じゃなくてもだ。  笆乃にとって笑名先輩は何なんだ?  姉の彼氏?  じゃあ、何故キスをした?  笆乃にとって、叶助の存在は?  頭の中にたくさんの疑問符が飛び交う。  そして、それらが終着していくのは――哀しみという感情だった。  今の状況に構うことなく、その感情は目から零れ落ちる。  その一滴は、何を濡らすこともなく光となって消える。  笆乃の手の中に。 「ありがと。能登くん」  まるで止まっていた時間が動きだしたように、ダークスーツの男達がそれぞれの光を別の形に変えて襲ってきた。  それらは炎や雷のように形のないものもあれば、武器のような物体もある。  どれもが、人に危害を加えるには充分なシロモノのように思えた。 「殺すなよ。“丁重に自由を奪え”」  連中のリーダーだろうか。  唯一、光を発していない男がそう言った。    
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