第三章

4/30
前へ
/86ページ
次へ
   『告白の弾丸』が路地をかける。  息吹楓も言葉と同じように内部にためていたのか、それとも笑名先輩のように自ら生み出したのか、『ため息の壁』で言葉の攻撃を防ぐ。  軋みを上げながら何とか相殺するに至ったが、言葉の手には既に次弾が装填されていた。 「馬鹿な、これだけの力がありながらまだ余力があるのか!?」  言葉はやはり躊躇わなかった。  息吹楓も二度目の防御を試してはいたが、先程よりも簡単にそれは破れ、そして彼の身体は嘘みたいに吹っ飛んだ。  呆気にとられていた叶助は、ようやく事の重大さに気づく。 「おい! お前少しは加減しろよ! 死んじまったらどうする!」 「このくらいで死なないわよ」  確かに息吹楓は動いているが、命に別状がないとは限らない。  頭でも打てば重傷を負うに違いなかった。 「くっ……さすがは『コンフェッション』だな」  息吹楓はふらふらと立ち上がる。  しかし笑名先輩に攻撃された時のように逃げようとはしなかった。 「負けてばかりだな、アンタ。タフな奴だよ」 「何の用なの? 少しだけ気が済んだし、話を聞いてやってもいいわよ」  八つ当たりも済んだようで、言葉は不機嫌そうにだがそう言った。 「そうか。では遠慮なく話させてもらおう」 「病院いかなくていいのか」 「大丈夫だ。だが、場所は変えようか」  叶助達の返答は待たずにに息吹楓は歩き出した。  話は聞くと言ってしまったから、仕方なく叶助達はその後に続いた。  その道すがら、我慢出来なくなったのか息吹楓は語りだした。 「以前、言ったかと思うが、君のような野良の異能者を狙っているのは、我々探偵社だけではない」 「何となくわかった。向こうから接触してきたし」  息吹楓は一瞬立ち止まる。 「彼らが接触してきた?」 「狙いは私じゃないみたいだったけど」 「君ではない?」  再び歩きはじめながら、息吹楓が訊ねる。 「ええ。『ラフ』と『クライ』って知ってる?」  言葉はあの状況でちゃんと聞き取り覚えていた。 「なるほど、彼らが。ということは、君は彼らが異能者だと知っているんだね」  視線が向けられたのは言葉だった。  叶助の場合は笑名先輩の力を間近で見ていたので問う必要はない。  それに叶助は感性力異能者ではないので、やはり関係があるのは同じ感性力異能者である言葉だ。 「笑名誠のことはは能登からきいた。笆乃哀は……さっきはじめて知った」  
/86ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加