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「問題は別の集団なんだ」
「何だかややこしそうね」
面倒臭そうに言葉が呟く。
「ああ。とてもややこしい。彼らは集団でありながら組織ではない。指導者はいないが目的を同じとしている」
「なによそれ」
「つまり、野良でありながら徒党を組んだ集団だ」
叶助と言葉はいまいち理解が出来ずに顔を見合わす。
「つまり?」
「一から説明しよう。我々が何故野良の異能者を確保しようとするか。それは、言うまでもない、危険だからだ」
「あんただって充分危険じゃない」
初対面で攻撃された恨みはまだ忘れたわけではない。
「それはすまないと思っている。だが、君は僕を退ける力を持っていた。にもかかわらず無所属だ」
「それの何が悪いのよ」
「感性力異能者の力は、とても強力だ。故に無秩序であってはならない。命令し、抑圧する指導者が必要なんだ。無論、上に立つ者は悪であってはならないが」
「政治論かしら」
「宗教論だろ」
「一般論だよ。もっとも、感性力異能自体、一般的ではないが」
「何でもいいけど。それで?」
言葉はお菓子に手を伸ばしながら、興味なさそうに話の続きを促す。
「悪意を持った組織でも、統制が取れているのならまだいい。交渉もできる。だが、野良でありながら集団である彼らに統制はない。正直、手を焼いている」
「そりゃご愁傷様ねぇ」
クッキーをかじりながら、言葉は鼻で笑う。
だが、叶助はそこまで悪態をつけなかった。何かが引っ掛かる。この話がどこにいきつくのかが、朧げに想像出来そうなのだ。
目的がありながら、自由な集団。
――悪いけど、“俺たち”は好きにやらせてもらう。
ふと誰かのコトバが脳裏に浮かんだ。
そこには、目の前の息吹楓もいて――
「まさか、笑名先輩が……」
「それと、『クライ』もだ」
クッキーの砕ける音が小さく響いた。
「ねえ、まさか、二人と戦えとか言わないでしょうね?」
「そういう状況になれば」
「バッカじゃないの?」
言葉は冷たく言い放つ。
「あんたに協力するくらいなら、あの二人の側につくわよ。それに、話を聞くとは言ったけど協力するとは言ってない」
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