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月曜日。
笆乃は学校に来ていなかった。
叶助が登校した時にはすでに言葉の姿があった。
少しだけ安堵してから、笆乃の姿を探したが、その時点では見つからなかった。
「この前も、結構遅く来たじゃない」
言葉がそう言った。
デートに誘われたあの日も、笆乃の登校はギリギリだった。今日もそうかもしれない。
「仮に休みだとしても、チャンスは今日だけじゃないでしょ」
すっかり応援側のような口ぶりで言葉は言う。
だが、もし本当に欠席だとしたら少し心配だった。
「昨日の戦闘で何かあったんじゃないよな……」
叶助は独り言のように呟く。
そもそも、あの得体の知れない連中と、笑名先輩・笆乃では数で負けている。勝つ方が難しい。
上手く逃げることが出来てればいいのだが。
「あ……」
言葉の声とともに、チャイムが鳴り響いた。
笆乃の席は空いたまま。
後に担任からの知らせで、とうとう欠席であることが確定してしまった。
「大丈夫よ、能登。あんたが持つ――というか、与える『力』って、意外と大きいもの。実際に使ったあたしが言うんだから間違いないわ」
その叶助の哀しみから力を生み出した笆乃が負けるはずない。
まるで励ますように言葉はそう言った。実際、励ましてくれているのかもしれない。
それはまるで、連日の行動を償うようでもあった。
「笑名先輩に会えればわかるんだがな――」
言って、叶助は後悔する。
今の言葉の前で、その名を出すべきではなかった、と。
しかし言葉は動揺も見せずに頷いた。
「そうね。もしかしたら、向こうから来るかもよ」
「……そうだな。そうじゃなくても、俺が様子を見に行ってみるよ」
「うん」
もしかしたら、言葉は無理して普通を装っているのかもしれない。
けれど、そのことを言葉に言うのはあまりに無神経だろう。
だから叶助も、普通でいることを心掛けようと思った。
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