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休み時間になり、言葉が言った通り、笑名先輩は自ら叶助を訪ねて来た。
「キョウスケ、ちょいといいか?」
いつもの笑顔。
しかし、叶助はその笑顔に安堵は出来なかった。
この後にするであろう話は、きっと日常的な会話ではないはずだから。
「場所を移しますか」
「だな。……コトミちゃんは?」
「言葉は、とりあえず保留で」
「そっか。ま、キョウスケがいればいいか。ハノもいないようだし」
「ああ、そういえば彼女、今日は欠席なんですけど何か知りませんか」
「怪我はない。休んでるのは気持ちの問題じゃないか? その話も含めて」
行こうぜ、と笑名先輩は歩き始めた。
それに続いて、叶助も廊下を歩く。
笑名先輩が選んだ場所は、屋上だった。教室からは遠い場所だが、喧騒から離れた場所の方が話はしやすい。
「さて、キョウスケ。何から話すか。感性力異能者――マインダーについては、知ってるんだもんな?」
「一応、少しは」
「コトミちゃんは? 彼女も知ってるのか?」
「言葉は……感性力異能者です」
笑名先輩は笑顔を引っ込めて、目を見開く。
どうやら、そのことは気づいていなかったらしい。
「そうか……なるほど。だから」
笑名先輩は何かを納得したように、一人頷く。
「キョウスケ、お前彼女に俺が異能者だってこと、言ったろ?」
「……すみません」
笑名先輩は呆れたように大きな溜め息をついた。
やはり、本人の許可なくそのことを漏らすべきではなかっただろうか。
「あのな、キョウスケ。別にばらすのはいい。けど、多分お前も、コトミちゃんも、ついでに多分ハノも、勘違いしている」
「勘違い?」
「コトミちゃんとハノは、多分俺が『ラフ』だと知っていたから、俺の前では笑わなかったんだ」
自分意外の異能者に力を与えた場合、異能の力を失うという制約があるのだ。
だから、二人は『笑顔』を力とする笑名先輩に対しては無表情か仏頂面でいた。
「多分、その通りだと思いますよ」
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