85人が本棚に入れています
本棚に追加
ある年の秋、私は金融機関を自己都合退職をした。
上司の考え方についていけなかったからなのだが、再就職先に当てがあったわけではない。転職活動をするにあたり、まずは身軽になりたかった。
初めてハローワークなるものに行き、転職活動が始まった。
実は、この時で転職活動は2回目であるが、今度は長年世話になった金融機関系ではなく、全く異質の業種に入ろうと、なぜか考えた。魔が差した、というところか…。
毎週日曜日は求人広告と睨めっこする日が続いた。
そして…
「教育アドバイザー/固定給25万円/ゆったり昼出社/頑張り次第で3ケタ月給」
こんな求人広告が目に入った。会社名は「ジャパンエデュケーションカンパニー」
他に、「あなたの体験を高校生に語ってみよう!」といった文言も。
はっきり言うが、収入に目が眩んだわけではない。
自分の、孤独な大学受験生活を語り、それが報酬につながるのか?というイメージをこの会社、頭文字を取ってJECと今後は呼ぶが、JECに抱き、早速、連絡を入れた。
「あの、求人広告を見て連絡したのですが…」
応対したのは女性。
「ありがとうございます。つきましては次週の火曜日に会社説明会がございますので、履歴書をご用意の上、お越しください。」
運命の、そしてのちに「悪質商法」として知れ渡るJECとの出会いであった。
最初のコメントを投稿しよう!