短編

2/2
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
俺は携帯を開いた。 携帯のデータフォルダやメモリーカードには無数の画像が大切に保管されている。 その全ての画像には一人のある女性が写っていた。 無数の画像全ては、その女性がかつて送ってくれた『写メ』だった。 俺はその写メを古い物から順に再生する。 そして、俺の記憶もその時へと戻っていく。 (これは大学時代の時だな) (こっちは社会人になった時だ) (そうそう、この時は俺がかなり落ち込んでいた時だったな) (おっ!これは貴重な画像だ!恥ずかしがり屋のあの人の水着姿か…) 全ての画像にその時、その時の思い出がある。 「写メが苦手なあの人が、いつも俺の為に携帯を通じて笑顔を見せてくれていたんだな」 呟きながら、携帯を閉じた。 閉じると同時に 「準備出来たよ~」 女性の声がする。 「はい」 俺はその声に応える。 「あなた、どうしたの?今日はいきなり『デートしよう』だなんて?」 女性が笑顔を見せながら聞いてくる。 「たまには、いきなりっていうのもいいだろ?」 俺は笑顔で応え 「いつも傍に居てくれてありがとう」 かつては携帯を通じて、今は俺の隣でいつも笑顔を見せてくれている妻に応えた。 そう… 『ありがとう』
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!