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俺は携帯を開いた。
携帯のデータフォルダやメモリーカードには無数の画像が大切に保管されている。
その全ての画像には一人のある女性が写っていた。
無数の画像全ては、その女性がかつて送ってくれた『写メ』だった。
俺はその写メを古い物から順に再生する。
そして、俺の記憶もその時へと戻っていく。
(これは大学時代の時だな)
(こっちは社会人になった時だ)
(そうそう、この時は俺がかなり落ち込んでいた時だったな)
(おっ!これは貴重な画像だ!恥ずかしがり屋のあの人の水着姿か…)
全ての画像にその時、その時の思い出がある。
「写メが苦手なあの人が、いつも俺の為に携帯を通じて笑顔を見せてくれていたんだな」
呟きながら、携帯を閉じた。
閉じると同時に
「準備出来たよ~」
女性の声がする。
「はい」
俺はその声に応える。
「あなた、どうしたの?今日はいきなり『デートしよう』だなんて?」
女性が笑顔を見せながら聞いてくる。
「たまには、いきなりっていうのもいいだろ?」
俺は笑顔で応え
「いつも傍に居てくれてありがとう」
かつては携帯を通じて、今は俺の隣でいつも笑顔を見せてくれている妻に応えた。
そう…
『ありがとう』
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