花島物語

旅立ち

　そしてお父さんは、お母さんを抱きに帰りました。
　お父さんとすれ違いに、幼なじみのすみれちゃんが、お弁当を持ってやって来ました。すみれちゃんは花島さんを見るなり
「わたし、外国に行きたい！」と、言いました。しかし、花島さんは「外国」という言葉を知りませんでした。花島さんがはてな??顔をしていると、すみれちゃんは持ってきたお弁当を、物凄い勢いで食べ始めました。そして、食べ終ったすみれちゃんは、花島さんの目を見つめて
「このお弁当、あなたのお母さんから預かった、あなたのお弁当～。でもわたし～、食べちゃった。てへっ」と、言って物凄い勢いで帰って行きました。
　すみれちゃんにとって、これが生まれて初めてのダッシュでした。