花島物語

旅立ち

　なんとか、一命を取り止めた花島さんは、病院のベットの上にいました。医者からは、一週間の入院が必要と言われましたが、まだ5歳児の花島さんにはお金がありません。愛してはくれない両親も、出してはくれないでしょう。
　花島さん、入院費をどうしようか悩んでいる内に、退院の日を向かえてしまいました。花島さんは、悩んだ末に院長先生に
「出世払いにして下さい」と、言いました。
「君が出世するとは、思わないなぁ～。ひゃっ、ひゃっ、ひゃっ」
　院長先生はそう言うと、高飛車に笑いました。
　花島さんはかなりショックでしたが、そこは町内でも有名な腰の低さで、ヘイコラ、ヘイコラ、ヨイショして、なんとか分割払いにしてもらい、退院する事ができました。
　花島さん、わずか5歳児にして、借金生活をスタートさせてしまいました。