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その瞬間、入り口は崩れた。
君と僕の間には、ぶ厚い壁ができてしまった。
「っ!?大丈夫!?ねぇ!大丈夫なの?」
必死そうな君の声が、土の向こうから聞こえる。
良かった、無事だった。
腕が一本通りそうな隙間があったから、手を入れてみた。
すると、君の手と出会った。
あぁ、やっぱり震えてる。
そうだ。
「ねぇ、かくれんぼしよっか」
「かく、れんぼ・・・・・・?」
「そう。僕がここで隠れてるから、君が大人を呼んで来て僕を見つけてよ」
「わ、わかった。待っててね」
離れていく君の手を、もう一度ぎゅっと握った。
「僕、ちゃんと守るからね」
「うん。二人だけの秘密の約束、私も守るよ」
君の手は、そっと離れて、駆けていくのが音でわかった。
約束は守る。
永遠に一緒。
でも、どうせならもう一度君の笑顔を、君の声を、君のぬくもりを感じたかった。
ほら、最後のわずかな空間も潰されていく・・・・・・。
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