◆終焉の夢

2/4
前へ
/17ページ
次へ
見上げれば、広がる青空。   見下げれば、転がる猫の死骸。   目の前には、貴方との思い出の百日紅。   無残にも花はすべて散ってしまった。   それはまるで、すべてを奪われた私のよう。   家族を奪われ、友達を奪われた。   大人たちの勝手な都合のせいで。   たくさんの人が、たくさんのものを失くして泣いた。   そんな中、私が立つのは百日紅の木の下。   貴方に助けられた命と共に。   貴方との秘密の約束と共に。   蝉が鳴き止まない。   それは、永遠へと続く鎮魂歌のようだった。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加