◆幸せな夢

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その頃の私の世界は貴方で満たされていた。   まさに世界の中心は貴方。   毎日毎日一緒に遊んで、何をするのもずっと一緒。   お話して、お散歩して、かけっこをした。   何より大好きだったのが、かくれんぼ。   鬼に見つかるまでの間は、二人だけでいられるから。   小さな声で、ひそひそ声でいろんな話をしたね。   「ねぇ、僕たち友達だよね?」   こそっと貴方が聞いてくる。   「うん。私たちは友達だよ」   私もこっそり返事をする。   「ずっと一緒にいようね。それで大人になったら、一緒の家に住もう?兄妹だと住めないけど、僕たちは友達だから」   「うん。早く大人にならないかなぁ」   「みんなには内緒だよ。怒られちゃうから」   「お父さんたち、みぶんそうおうって難しいこと言うもんね」   これが二人だけの秘密の約束。   忘れることのない約束。  
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