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案の定、君はそこにいた。
真っ赤な花を咲かせた百日紅の木の根元。
恐怖のためかうずくまってたね。
躊躇いなく駆け寄る。
危険なんて関係ない。
「やっと見つけたっ」
泣き顔をあげた君は、僕が笑いかけると安心したように笑って、飛びついてきてくれた。
「ごめんね?すぐに見つけてあげられなくて」
「ううん。だいじょーぶ、だから」
幼いながらに、守ってあげないとって思った瞬間。
君も一人で恐かっただろう。
でも僕も恐かったんだよ?
君がいなくなっちゃうんじゃないかって。
離れ離れになるんじゃにないかって。
本当に、無事でよかった。
そして、僕たちは近くにあった小さな小さな防空壕に隠れた。
いつまでも百日紅のところにいるのは危険だから。
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