貴方は愛する人を愛し殺してしまいたいと── そう願いますか?

2/2
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
傷口を差し出して下さい   赤い血を舐めて下さい   貴方の温かい血液に 触れさせて下さい     嗚呼...生きている そう感じさせて下さい   溶けて混ざり合うような 愛情を下さい   そう願う事は この感情は 罪なのでしょうか?     淫血症は人間の病気だそうです   私の血が薄い事と 関係が有るのでしょうか?     気付いた時には 白い肌を流れる 生きている事の証明が 痛々しくて   悲しくて 愛しくて 壊れそうな程 溢れる想いで   そっと触れて   『キライ』   そう一言 足に刻みました     昔に見た 愛しい子の足に刻まれた 紫色の蝶々   ファッションなんだよ そう笑って彼は言っていました   醜く爛れて腫れた不気味な色の 蝶々 それでも──   きっと彼にとっては 大切な記しだったのでしょう     自分は生きているよ   此処にいるよ   否定しないで?     そんな想いの詰まった刻印   でも私は そんなものは欲しくないんです   傷痕は愛しく感じます けれどそれは一過性のものに過ぎない     消えかければ 只の邪魔な醜い皮と肉   私が望むものは違う     何が欲しいのか 自分でも良く 分かりません   只... 分かるのは   この欲望と 満たされない感情を   埋めてくれる ─存在─     貴方は 私の望みを── 理解出来ますか?
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!