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「借金なんか作って…」
『借金…?』
流星は幼くても"借金"という言葉くらいは知っている
「しょうがなかったんだよ」
いつもは強い父親の威厳が少しも見られなかった
「でも、私に相談してくれても…よかったじゃない」
いつも笑顔の母親が泣いている
「どうせ反対するだろ?」
『お父さんと、お母さん、喧嘩してるの?』
「するわよ!借金作るくらいなら私も働きます」
瑞穂の声は強かった
「お前には流星がいただろ」
「流星はもう一年生だし、しっかりしてるから…大丈夫なはずよ」
『僕は…』
「…だからだよ」
『え?』
「しっかりしてるけど…まだ一年生なのよ?7歳なのよ?」
『僕、しっかりしてないよ…しっかりしてるふりをしてるだけだよ?』
「流星なら…大丈夫だ」
「……だから、あなたはどうするつもりなの?流星を。」
「……言えない」
剛は瑞穂から目をそらした
『僕、どうかされるの?』
「なんで…?」
「お前が…反対するからだ」
『お母さんが反対するようなこと…?』
流星の心臓は早く鼓動し始めた
完全に体が動かなくなった
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