一章 邂逅と発途

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実は青年は周りからどよんだ性格と言われている。 寡黙。 時折意味不明な行動。 見当違いな返答が返ってくる。 面倒事は嫌い。 協調性がない。 その癖特に自分の意見は持っていなく、多数派に座っている。 その所為で、壊れた電気信号みたいだと言われた事もある。 …よく考えたものだ。 だからなのか、薄暗い曇った空は彼にとってなかなか好きな光景であった。 機械達に至っては共に育ってきたせいで、無くてはならない存在だった。 彼自身機械に関わる仕事に就いていたし、大抵の機械はいじった事があるというぐらいだ。 青年は一通り辺りを見通すと、安堵したように息を吐いて、また足を動かした。 突然。 「おいっ、ゼスタ。今日も逃走か!?」 ゼスタ、と呼ばれた青年、ゼスタ=エレナイズは跳ねるように飛び上がり、目を向けた。 愛想を良さそうにしているおじさんが、彼を捕まえていた。 おじさんは四十代過ぎまくっていて、髪が薄いのを気にしてか、一生懸命髪を前につんつん出そうとしていた。 近所に住んでいる神出鬼没のおじさんといった所のポジションである。 「はぁ…」 一応返事をする。 やる気の無い声に、溶けたような表情で関わりたくないのは一目瞭然。 まぁ、思っていた者ではなくてほっとしたが、面倒な事になった、億劫だなぁといった感じ。 少し項垂れて、足を止める。 ユーモラスフェイスが口開きした瞬間、言葉が雪崩のように耳に飛び込んできた。 「あ~お前あれか?サボりか? 仕事の! ま~いいんじゃねえか~おめぇさんがサボったって。親父さん以外誰も文句言わねえよ。おめぇさんがこの都市を繁栄させたんだからよ。あそうだ。でもよ。出掛けるんだったら今日は《リエイテ神が現れない日》だから辞めとけ。その日はな~御加護があんまりなくてなぁ~。だからま………」 ぶっ飛びまくっているおじさんの話。 しかし、おじさんは的確に痛いところ、真実を突いてくる。 これが嫌なのだ。
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