21人が本棚に入れています
本棚に追加
剣に生き28年。
そこいらの男なんぞ目じゃないくらいの美男子。
それがつい昨日までの自分だったはず。
宮本千里は本日何度目かの溜息を吐き出し、能天気に晴れ渡る空を見上げた。
外出では凛々しく見える装いだが、普段は普通の子女が着るような着物だ。
「ごめんくださいましー。小間物屋でございますー」
「あ・・・・はい!」
裏木戸から馴染みの小間物屋が顔を出していた。
「なにやら物憂げでございますね。今日はいいもの持ってまいりましたので、ぜひぜひご覧下さい」
にこにこと微笑むおかめ顔の女は、担いだ箱から紅や白粉、櫛など女向けの化粧品並べ一番下から草子を取り出した。
最初のコメントを投稿しよう!