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体の弱い三男・永生と、まだ乳飲み子だった四男・千速を残して母が逝き、母親代わりに弟達を育ててきた駿だが、丈夫で乳飲み子の千速は色んな女の乳を貰い育ってきた。
病の度に永生に付きっ切りになる駿の代わりに、子守女が千速の面倒を見た。
そのことでグレた時期もあったが、周りは気付きもしない。
けれどそこから今の千速を形成するまでの切っ掛けをくれたのも、全て女達のお陰だった。
「道理ねぇ。いーんじゃねーの」
真剣に考えかなり真面目に対峙していた千速。
しかしその返答であるべき駿の言葉は、全てを受け流すような口調であった。
「それが千速の信念なら俺がどうのと言える事ではない。ただ・・・」
駿は千速の衿を掴み引き寄せ、見たこと無いような笑顔を眼前にして千速は固まる。
「俺は俺のしたいようにする。カチ合ったらいつでも兄弟喧嘩してやるから安心しろ」
「・・・・は、はい」
眼は笑って無い・・・。
千速は駿の醸し出す雰囲気にただ呑まれた。
「で、だ。店はどこだ」
話しながら歩いているうちに、日本橋まで来ていたようだ。
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