21人が本棚に入れています
本棚に追加
「ちょっと待って、待ってって!待てー!!」
「診察をさせろといっているだけだろう」
部屋に着くなり部屋を閉め切り、胴着を脱がそうとする駿は、ただひたすら待てと止められた
「必要ありません!そもそも何者です!?」
ぴたり。
駿は言われた言葉に目を見開いて引いた。
「俺は松原駿。お前は?」
「み、宮本千里(ミヤモトチサト)」
「千里、と言うのか」
甘く名を呼ばれ、現状に途惑う千里の女心に響く。
「何者かわかったならもういいか?」
駿は行動を再開した。
「そういう問題じゃぁないッ」
「医者に患部を診せるだけでそんなに・・・」
「あなたの目がそんな感じに見えませんっ!」
耳の先まで紅潮し千里はキっと駿を見据えて強く言った。
真面目に迫っていた駿の表情が、僅かに面白そうに揺らぐ。
「ふーん・・・わかった。ならば期待に応えてやろう」
最初のコメントを投稿しよう!