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「確か、この方の草子お好きでおられましたでしょ?これ新作です」
「借ります」
小間物屋から借りたのは、もっぱら閨事を中心に取り上げた枕草紙。
春画本の一種だ。
「アタシの扱っております貸し本、最近の人気はこう過激なものでございますとか、こういった男色とかでございますけれど、こちらとか興味ございません?」
言いながら、別の草子を開いて見せた。
非常に写実的な結合に素早く表紙を閉じて、首を振る。
「これが良いのです!・・・あと、べ・・・紅を頂ける?」
「珍しい・・・あら、こんなこと申し上げちゃ失礼でございますね、そうそう。これも差し上げます」
「これは?」
「仕入先の問屋で出している、流行の髪から化粧、下駄までの組み合わせの絵でございます。この刷りの手法も新しいものらしいですよ。以前より色の出がはっきりとして」
「・・・どうも」
小間物屋から買い物をすると、千里は部屋に籠もった。
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