第二話

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『坊ちゃんがひびをいれてしまったからな。 当たり前の事をしたまでだ』 『そうですか。 またな琢磨』 巧は走り出して玄関を出た。 『がんばりましたね。 高嶺に勝ったのですからね。 高嶺は弱い訳ではありません。 前の坊ちゃんなら負けていました』 蓮はウンウンと頷いていた。 『そうなのか? やはり実感がない』 『まあ坊ちゃんはそれでいいんです。 坊ちゃんはそれでいいです。 自分が強いと過信するよりましですよ』 『僕は親父や蓮を越えてからじゃないと強いとは感じないよ。 それに越えても自分を強いと思わないと思う』
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