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それに瘴気が含まれている、とそこまで確認して礼春は駆け出した。
背中に誰かの声が掛けられたが礼春は止まらない。
微かに感じていた違和感の正体が近くにある。
跳ぶ様に走る礼春は一キロ程をその駿足で走破し、目の前に見えた広場へ足を踏み入れた。
「これは・・・・・・」
粘液質の強い液体が踏む毎に不快感のある音を発てる。
目の前には緑の絨毯や土色の地面は存在しなかった。代わりにあるのは赤と黒が混ざり合った奇妙な水溜まり。
そんな惨状を見詰め、礼春は血の池地獄と化した地面を歩く。辺りを見回しながら中央へ歩く。
そこが惨劇の舞台だった。
妖魔の惨殺死体。懇切丁寧に積み上げられた山は一方的に、しかも抵抗すらできなかったと言ってしまえそうな程、残酷な有様だった。
芸術の様に見えるのは何故だ?と礼春は注意深く肉塊を確かめる。
「貴様、何を考えている」
身を屈め様とした礼春の首に、三又に別れた鉄の鉤爪が押し当てられていた。
礼春の細い首の皮膚が裂け、血が伝う程の至近距離。驚きは見せない礼春だったが、状況は首の皮一枚といったものだ。
「只血の匂いがしたものでな・・・・・・啜ってやろうかとっ―――!」
影虎の持つ鋭利な鉤爪が首に更に食い込んだ。
冗談も通じないのか!?と礼春が苦笑していると後ろから声が掛かる。
「グレイス!止めろ!今そいつを―――っ!!」
「なんじゃぁこりゃ!」
「鼻が、曲がりそうだ」
『なんすかなんすか?レイシェンも見たいっす!』
「今出ては、駄目です」
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