~第一章~  三春藩、返り忠

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「各々方、膳立ての時刻に御座る。我等は後で済ます故、貴殿等はゆるりと食されよ」  仙台藩、伊達家の旗指物を背負った武士が、畳を重ねた警戒線の内側に現れる。 「忝ない。疾く済ませ、戻りましょうぞ」  警戒線の向こうを臨みながら、ジリジリとゆっくり交代する。 「さすけねぇが(福島県の方言。大丈夫の意)? ドン五里に任しで?」 「さすけねぇべ。任せなきゃ、俺等がママ(飯)食えなぐなっちまァ」
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